トレーラードライバーを目指している方や、牽引免許を取得したばかりの方が最初にぶつかる壁。それがバック操作です。
大型トラックのバックとはまったく違い、トレーラーは車体が折れ曲がるため、最初は思うように操作できません。
その中でも、実際の現場で最も利用頻度が高く、最初に習得したいのが「右バック」です。
右バックとは、運転席から見て右方向へトレーラーを誘導しながら後退する方法です。運転席側のミラーでトレーラーの動きを確認しやすいため、左バックよりも状況を把握しやすく、多くのドライバーが得意とするバック方法でもあります。
私自身もタンクローリートレーラーの運転を覚える際、まず右バックを徹底的に練習しました。現場に出てからも右バックを使う機会は非常に多く、「右バックを制する者がトレーラーを制する」と言っても大げさではないと感じています。
今回は、実際の現場経験を踏まえながら、右バック上達のコツについて詳しくお話しします。
なぜ右バックが重要なのか
配送先や油槽所、物流センターなどでは、進入経路の関係で右バックになるケースが数多くあります。
もちろん左バックも必要ですが、現場では右バックで車庫入れや荷降ろし位置への進入ができるようにレイアウトされている場所も少なくありません。
理由は単純です。
運転席から見えるからです。
トレーラーは長いため、バック中に車両全体を把握することが重要になります。
右バックでは運転席側ミラーからトレーラーの側面や折れ角を直接確認できます。
つまり、
「今どれくらい曲がっているのか」
「このままバックするとどこへ向かうのか」
が判断しやすいのです。
そのため、まず右バックを確実に身につけることがトレーラードライバーとしての第一歩になります。
バックの基本原理を理解する
右バックを覚える前に、まず知っておかなければならないことがあります。
それは、
トレーラーはハンドルを切った方向とは逆へ動き出す
ということです。
普通車や大型トラックしか経験がない人はここで混乱します。
右バックをしたい場合、
最初はハンドルを左へ切ります。
するとトラクターヘッドが左へ振られ、その影響でトレーラー後部が右へ向かい始めます。
初心者の頃は頭で理解していても、実際に操作すると混乱します。
しかし安心してください。
ベテランドライバーも全員ここを通っています。
大切なのは理屈を理解し、繰り返し練習することです。
一番重要なのは「少し折る」こと
初心者が最も多く失敗する原因はハンドルの切りすぎです。
バック中、
「曲がらないな」
と思ってさらに切る。
すると数秒後、一気にトレーラーが折れ始める。
慌てて逆ハンドル。
結果として蛇行する。
これは初心者あるあるです。
トレーラーは反応が遅い乗り物です。
特にタンクローリートレーラーのような長い車両は顕著です。
そのため、
「少し切る」
「待つ」
「確認する」
が基本になります。
私も新人時代、先輩から何度も言われました。
「切るのは一瞬、待つのが仕事だ」
まさにその通りです。
トレーラーの後ろではなく折れ角を見る
初心者は荷台の後端ばかり見ています。
しかしベテランドライバーは違います。
見ているのは折れ角です。
右ミラーに映るトラクターとトレーラーの角度を確認します。
なぜなら、
折れ角が分かればトレーラーがどこへ向かうか予測できるからです。
逆に後ろだけを見ていると、
「曲がりすぎた」
「足りなかった」
という結果論になります。
バック操作は予測が重要です。
右ミラーに映る折れ角を見る習慣をつけるだけで上達速度は大きく変わります。
「折る」と「追いかける」を覚える
右バックの基本動作は二つしかありません。
それが、
折る
追いかける
です。
まず左へハンドルを切り、トレーラーを右へ折ります。
その後、トレーラーが進ませたい方向へ向いたらハンドルを戻します。
そしてヘッドをトレーラーの進行方向へ追いかけるように合わせていきます。
初心者は折ることばかり考えます。
しかし本当に重要なのは追いかける操作です。
追いかけることで折れ角が安定し、狙った場所へ真っ直ぐ近づけるようになります。
バックスピードは歩く速さ以下
上達したいなら速度を落としてください。
これは非常に重要です。
焦ってバックすると、
確認不足
修正不足
判断ミス
につながります。
特に狭い荷降ろし場所では、
歩く速度より遅いくらいで十分です。
プロドライバーほどゆっくりバックします。
速くバックすることに価値はありません。
安全に入れることに価値があります。
ミラー確認の順番を決める
右バック中は、
右ミラー
左ミラー
前方
の順番で確認する癖をつけましょう。
右ミラーでは折れ角確認。
左ミラーでは反対側の障害物確認。
前方ではヘッドの振り出し確認。
特に前方確認を忘れる人が多いです。
バック事故というと後方ばかり気になりますが、
実際には前方の接触事故も少なくありません。
ガードレール
ポール
隣接車両
建物
これらにヘッドをぶつけるケースは珍しくありません。
切り返しは恥ではない
新人時代の私は、
「一発で入れたい」
と考えていました。
しかし現場へ出ると考えが変わりました。
ベテランドライバーでも普通に切り返します。
なぜなら安全だからです。
無理なバックは事故につながります。
事故を起こせば荷主や会社に迷惑をかけます。
数回切り返しても誰も困りません。
むしろ安全確認しながら確実に入れる方が評価されます。
降車確認を面倒がらない
見えないなら降りる。
これがプロの基本です。
私は今でも初めて行く配送先では何度も降車します。
降りれば確認できます。
確認できれば事故は防げます。
特に夜間や雨天ではミラーだけで判断しないことが大切です。
数十秒の確認が数十万円の修理代を防ぐこともあります。
50代から挑戦する方へ
このブログを読んでいる方の中には、私と同じように50代でトレーラードライバーを目指している方もいると思います。
若い頃のように感覚だけで覚えるのは難しいかもしれません。
しかし心配はいりません。
トレーラーは運動神経より経験がものを言う世界です。
毎日少しずつ乗ることで、
折れ角
車体の動き
ハンドル操作
ミラーの見方
が自然と身についてきます。
私も最初は何度も失敗しました。
切り返しだらけでした。
それでも毎日バックを続けることで少しずつ感覚を掴むことができました。
まとめ
トレーラーの右バックは、現場で最も使用頻度が高く、最初に身につけるべき重要な技術です。
上達のポイントは、
- ハンドルを切りすぎない
- 少し折って反応を待つ
- 折れ角を見る
- 折ったら追いかける
- ゆっくりバックする
- 前方確認を忘れない
- 切り返しを恐れない
- 必要なら降車確認する
この8つです。
右バックが安定してできるようになると、トレーラー運転の自信は大きく変わります。
そして右バックを極めることは、左バックや狭い現場での応用力にもつながります。
焦る必要はありません。一回一回のバックを丁寧に行い、車両の動きを観察してください。経験を積み重ねることで、必ず思い通りにトレーラーを操れる日がやってきます。50代からの挑戦でも決して遅くありません。安全第一で経験を積み、プロのトレーラードライバーを目指していきましょう。
引っ張りオヤジのトレーラー転職日記 
