はじめに
トレーラー未経験者が最初に苦労するのがバック操作です。
私自身も50代で未経験からタンクローリートレーラーの世界へ飛び込みましたが、最初の頃は思うようにバックできませんでした。
ハンドルを切り過ぎたり、戻し過ぎたり。
何度も切り返しを繰り返していました。
しかし乗務を続ける中で気付いたことがあります。
それは、
「トレーラーはハンドルで操作するのではなく、折れ角を管理する乗り物である」
ということです。
そしてもうひとつ。
着車はバックが始まる前に決まっている
ということです。
今回は私が実際に現場で意識している右バックの考え方についてお話ししたいと思います。
右バックはすべての基本
トレーラーのバックには、
- 直線バック
- 右バック
- 左バック
- 縦列駐車
- 方向転換
などがあります。
その中でも最も基本となるのが右バックです。
運転席側からタンクの動きを直接確認できるため、初心者でも車両の動きを把握しやすいからです。
左バックや縦列駐車も、結局は右バックの応用です。
まずは右バックをしっかり身につけることが上達への近道だと思います。
折れ角を見ながら下がる
初心者の頃はどうしても着車位置ばかり見てしまいます。
しかし実際には、
ヘッドとタンクの角度を見ることの方が重要です。
右バックでは窓から顔を出し、
「今どれくらい折れているか」
を確認しながら後退します。
角度が増えているのか。
角度が減っているのか。
それを把握することでトレーラーの動きが予測できるようになります。
先輩から教わった言葉があります。
「後ろを見る前に折れ角を見ろ」
まさにその通りだと思います。
折れ角が足りなくなると難しくなる
バック中に折れ角が足りなくなることがあります。
その場合はハンドルを左へ切り、さらにヘッドとタンクの角度をつけて修正します。
しかし、この修正が始まると難易度は一気に上がります。
角度をつけ過ぎればジャックナイフ方向へ進みます。
戻しが遅れれば蛇行します。
つまり、
折れ角が足りなくなってから修正する状態そのものが理想ではない
のです。
タイヤの軌跡を予想する
私が常に意識しているのは、
タンク後輪の軌跡
です。
タンク後輪がどこを通るのか。
そのラインを頭の中で描きながらバックしています。
そして、
ヘッド後輪でそのラインを追いかける
イメージを持っています。
すると自然に折れ角が維持されます。
トレーラーのバックは後ろを見る作業ではありません。
タイヤの未来を予想する作業なのです。
ベストは一定の折れ角で侵入すること
右バックが上手い人には共通点があります。
それは、
折れ角がほぼ一定
であることです。
初心者は、
折る
↓
戻す
↓
折る
↓
戻す
を繰り返します。
しかし上手な人は違います。
最初に適切な折れ角を作り、そのまま維持しながら着車位置へ向かいます。
つまり、
折れ角を作るのではなく、折れ角を維持している
のです。
私自身も着車がきれいに決まる時は、ほとんど修正していません。
一定の角度のまま自然に入っています。
いきなり90度方向転換を練習しなくていい
初心者は90度方向転換ばかり練習したくなります。
しかし実務ではどうでしょうか。
実際に最も使用頻度が高いのは、
鈍角右バック
です。
ガソリンスタンドへの荷卸し。
油槽所での着車。
車庫での駐車。
多くの場面で浅い角度のバックを使います。
私はまず鈍角右バックを徹底的に練習することをおすすめします。
なぜなら実務で最も使うからです。
なぜ鈍角右バックが多いのか
ここで勘違いしてはいけないことがあります。
実務で鈍角右バックが多いのは、
たまたまそうなるからではありません。
鈍角右バックになるようにアプローチしているのです。
経験のあるドライバーほど、
「どうすれば楽にバックできるか」
を考えています。
荷卸し場所へ向かう時点で、
「鈍角で侵入できる位置まで前進で持っていく」
ことを意識しています。
トレーラーは折れ角が大きくなるほど難しくなります。
だから可能な限り、
- 大回りする
- 前進で位置を作る
- 鈍角で侵入する
という流れを選びます。
つまり、
バックしやすい位置に車を持っていくことも技術のひとつ
なのです。
もちろん現場によってはスペースがなく、90度方向転換が必要な場合もあります。
しかしそれは例外です。
スペースがあるなら、わざわざ難しいバックをする必要はありません。
おすすめの練習方法
私がおすすめするのは、
ジョウロでタイヤの軌跡を書く練習
です。
広い駐車場で地面に水を使って理想のラインを書いてみます。
そしてそのラインを追うようにバックします。
すると、
- どこで折るのか
- どこで戻すのか
- どの角度が理想なのか
が目で見て理解できます。
何度も繰り返していると、やがて頭の中に見えないラインが描けるようになります。
上手なドライバーはその見えないラインを追いながら運転しています。
まとめ
タンクローリートレーラーの右バックで大切なのは、
- 折れ角を目視する
- タイヤの軌跡を予想する
- ヘッド後輪で追いかける
- 一定の折れ角を維持する
- 鈍角右バックを基本にする
- バックしやすいアプローチを作る
この6つです。
私は今でもバックを始める前に、
「どんな角度で侵入するか」
を最初に考えます。
実務ではバック技術そのものより、
バックしやすい状況を作る技術
の方が重要な場面も少なくありません。
着車はバックが始まる前に決まっている。
これが私なりにたどり着いた、タンクローリートレーラー右バックの極意です。
左バックのコツについての記事はこちら
引っ張りオヤジのトレーラー転職日記 
