はじめに
車庫内訓練や路上走行訓練が終わると、いよいよ荷卸し訓練が始まりました。
タンクローリーの仕事というと運転技術ばかりが注目されがちですが、実際には荷卸し作業も重要な業務のひとつです。
その中でも私が最初に苦戦したのが荷卸しホースの取り扱いでした。
初めてホースを持った日のことは今でもよく覚えています。
なぜなら指導員から、
「ホースに遊ばれてるぞ〜!」
と言われたからです。
想像以上に重かった荷卸しホース
訓練が始まる前は、
「ホースを引っ張って繋ぐだけだろう」
と軽く考えていました。
ところが実際に持ってみると全く違いました。
ホースは太くて重く、思った方向に動いてくれません。
引っ張れば途中でねじれ、向きを変えれば別の場所が引っ掛かる。
まるで生き物を相手にしているような感覚でした。
先輩たちは当たり前のように扱っていますが、未経験者の私にはそれだけでも一苦労でした。
ホースに振り回される新人時代
初めての荷卸し訓練では、ホースを真っ直ぐ運ぶことすらまともにできませんでした。
荷卸し口まで持っていこうとしても途中で絡まり、接続口に着いたと思ったら向きが違う。
そんなことを繰り返していると、指導員から笑いながら言われました。
「ホースに遊ばれてるぞ〜!」
本人は真剣そのものですが、周りから見ればホースに振り回されているように見えたのでしょう。
今では笑い話ですが、その時は必死でした。
力ではなくコツだった
最初の頃は、
「もっと力が必要なのかな」
と思っていました。
しかし先輩たちの作業を見ると違いました。
力任せに扱うのではなく、ホースの向きやねじれを見ながらスムーズに動かしています。
ホースの流れを作る。
ねじれを先に取る。
無理な力をかけない。
こうしたコツを覚えることで、作業は格段に楽になりました。
今でも自分なりのやり方で作業している
荷卸し訓練の際、先輩からは、
「ホースは頭上にアーチを描くように持つんだ」
と教わりました。
確かに理屈は分かります。
ホースを高く持ち上げてアーチを作ることで、ねじれが少なくなり、運びやすくなります。\
実際、その方法がやりやすい場面も多くあります。
しかし50代の私には、重いホースを頭上付近で長時間保持するのがなかなか大変でした。
そこで現在は、ホースで大きなアーチを作ることは意識しつつも、できるだけ腕への負担が少ない高さ、つまり水平に持つようにしています。
もちろん現場の設備やホースの長さによって最適な方法は変わります。
安全に作業することが大前提ですが、教わったことをそのまま真似するだけではなく、自分の体力や体格に合ったやり方を見つけることも大切だと感じています。
50代未経験で飛び込んだタンクローリーの世界でしたが、今では少しずつ自分なりの作業スタイルを作れるようになりました。
運転だけでは務まらない仕事
タンクローリー未経験だった私は、入社前は運転技術ばかり気にしていました。
しかし実際の仕事はそれだけではありません。
積込み作業。
荷卸し作業。
ホース接続。
伝票処理。
安全確認。
覚えることは山ほどあります。
トレーラーを運転できるだけでは一人前にはなれません。
現場での作業を含めて初めてタンクローリー乗務員なのだと実感しました。
おわりに
今では当たり前に行っている荷卸し作業ですが、最初はホース一本まともに扱えませんでした。
指導員から
「ホースに遊ばれてるぞ〜!」
と言われたのも良い思い出です。
50代で未経験の世界に飛び込むと、できないことの連続です。
しかし、その失敗や経験が少しずつ自信に変わっていきます。
あの頃、「ホースに遊ばれてるぞ〜!」と言われていた新人が、ようやくホースと付き合えるようになった気がしています。
これからタンクローリー業界を目指す方も、最初はホースに遊ばれるかもしれません。
しかし心配はいりません。
私もそこからスタートしたのですから。
引っ張りオヤジのトレーラー転職日記 
