はじめに

人生の折り返し地点とも言われる50代。一般的なサラリーマンであれば、長年積み重ねてきた経験や実績が評価され、会社ではそれなりの役職や立場に就き、仕事でも家庭でも安定した日々を送っている頃だろう。

しかし、私はその流れとは少し違う道を選んだ。

50代半ばを迎えたある日、私は転職を決意した。それも未経験の世界であるトレーラー乗務員への挑戦である。

今振り返ってみても、無謀な決断だったと思う。年齢的にも決して若くはなく、新しい仕事を一から覚えるには決して有利な条件ではなかった。それまで積み上げてきた経験の多くは直接役に立たず、再び新人としてスタートラインに立たなければならない。周囲から見れば、「なぜ今さらそんな大変な道を選ぶのか」と思われても不思議ではなかった。

それでも私には、どうしても諦めきれない夢があった。

それは大型タンクローリーのトレーラーに乗ることだった。

子供の頃、私はミニカーで遊ぶのが大好きだった。数ある車の中でも、ひときわ大きく存在感のあるトレーラーに強く惹かれていた。長い車体をゆっくりと操りながら走る姿は、幼い私の目にはとても格好良く映った。そしていつしか、「いつか自分もこんな車を運転してみたい」と思うようになっていた。

しかし現実はそう甘くない。

学校を卒業し、就職し、家庭を持ち、日々の生活に追われる中で、子供の頃の夢は少しずつ心の奥へとしまい込まれていった。目の前の仕事をこなし、生活を支え、気が付けば一年が過ぎ、また一年が過ぎる。そうして夢を追うことよりも、現実を生きることを優先しながら歳を重ねていった。

そして気が付けば50代半ば。

「まだ先がある」と思っていた人生も、いつの間にか後半戦に入っていた。

その頃から、ふと考えるようになった。

もし人生で本当にやりたいことがあるのなら、挑戦できるのは今が最後ではないだろうか。

10年後、20年後の自分が振り返ったとき、「あの時やっておけばよかった」と後悔する人生だけは送りたくなかった。失敗するかもしれない。不安もあった。それでも、挑戦しなかった後悔の方が大きく残るような気がした。

そうして私は、一念発起して未経験のトレーラー乗務員の世界へ飛び込むことを決意したのである。

このブログは、そんな50代のごく普通のオヤジが、長年胸の奥にしまい込んでいた夢を追いかけ、未経験からトレーラー乗務員へ転職した記録である。仕事のこと、失敗したこと、苦労したこと、そして少しずつ成長していく過程を、できるだけありのままに綴っていきたいと思う。

同じように転職を考えている方、年齢を理由に挑戦を諦めかけている方、あるいは大型車両の仕事に興味を持っている方にとって、この記録が少しでも参考になれば幸いである。

最後に、全くの未経験者であり、しかも決して若いとは言えない50代半ばの私を採用してくださり、一人前の乗務員になれるよう根気強く指導し支えてくださった会社の皆様へ、心から感謝申し上げたい。

この挑戦は、決して私一人の力だけで実現できたものではない。その感謝の気持ちを忘れることなく、これからも安全運転と技術向上に努めていきたいと思う。

2026年6月9日

旅先の街角にて