夢は捨てたはずだった トレーラー乗務員への道

「今さら転職なんて無理だろう。」

長い間、私はそう思っていた。

いや、正確には自分にそう言い聞かせていたのかもしれない。

若い頃ならともかく、50代を迎えた人間が未経験の仕事に飛び込むなど現実的ではない。転職市場では年齢が大きな壁になることも知っていたし、新しい職場で一から仕事を覚える大変さも想像できた。

だから、トレーラーに乗りたいという子供の頃からの夢は、心のどこかに残りながらも、すでに諦めたものだと思っていた。

そんな私が再び夢を意識するようになったのは、ある日、高速道路のサービスエリアで休憩していた時のことだった。

目の前に、一台の大型タンクローリートレーラーがゆっくりと入ってきた。

銀色に輝くタンクを連結した巨大な車体。

運転席から降りてきた乗務員の姿。

そして何より、その堂々とした存在感。

子供の頃に憧れた光景が、まるで昨日のことのように蘇った。

「やっぱり格好いいな。」

その時、ふと思った。

もし今の自分が20代だったら、この仕事に挑戦していただろうか。

答えは簡単だった。

間違いなく挑戦していたと思う。

では、なぜ今は挑戦しないのか。

年齢のせいだろうか。

失敗するのが怖いからだろうか。

収入が下がるかもしれないからだろうか。

いろいろ理由は思い浮かんだ。

しかし、そのどれもが本当の理由ではない気がした。

結局のところ、私は「できない理由」を並べていただけだったのだ。

それからというもの、トレーラーという仕事について調べることが増えた。

必要な免許。

仕事内容。

勤務形態。

給与。

事故のリスク。

求められる技術。

調べれば調べるほど、その仕事の厳しさが見えてきた。

大型車両を安全に操る責任の重さ。

長時間にわたる運転。

狭い場所での車庫入れや荷卸し作業。

決して憧れだけで務まる仕事ではないことも理解した。

それでも不思議と気持ちは離れなかった。

むしろ知れば知るほど挑戦してみたいという思いが強くなっていった。

そんなある日、鏡に映る自分を見ながら考えた。

「もし65歳になった時、今の自分を振り返ったらどう思うだろう。」

その時に、

「あの時は年齢を理由に諦めた」

と後悔するのか。

それとも、

「無謀だったけど挑戦して良かった」

と思えるのか。

その答えは、ほとんど決まっていた。

挑戦して失敗することはある。

しかし、挑戦しなかった後悔は一生残る。

そう思った瞬間、自分の中で何かが吹っ切れた。

「やってみよう。」

たった一言だった。

だが、その一言が人生を大きく変えることになる。

もちろん、その時点では何も決まっていなかった。

免許もない。

経験もない。

コネもない。

あるのは、子供の頃から抱いていた憧れと、少しの勇気だけだった。

しかし今振り返れば、その日こそが私のトレーラー人生の本当のスタート地点だったのかもしれない。

次回は、未経験の50代がトレーラー乗務員になるために、まず何から始めたのかを書いてみたいと思う。

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